2018年4月25日水曜日

「酒器」の「酔う」と「用」の関係





静嘉堂文庫の「酒器の美に酔う」
内覧会に出かけた。
ご存知のように静嘉堂文庫には
国宝「曜変天目」の所蔵もあり
これは特別展示されている。











収蔵コレクションは時代順に展示されているが、
青銅器の収蔵が少なく、本来なら中国殷代中期頃の「カ(漢字が出ない)」や
「爵」のように青銅で脚が3つ付いている酒器が無いの残念だ。

現在「銚子(ちょうし)」というと流涎型で燗酒などに使うものが一般的だが、
銚子は元々長い柄のついた金属や木製の器で、神前の結婚式で巫女さんが
三三九度に使うものといえば分かりやすだろう。

瓶や樽から酒をすくい、左右の口から酒杯に注ぐためにのものだが、
もうひとつ、銚子から酒杯に移すために「提子(ひさげ)」という
上部に手の付いた器がある。
この「提子」の手の付かないものは「片口」であるが、どこから別れてきたのか、
あるいは全然関係なく登場してきたのかは想像するしかない。

ここで、もうひとつの器を思い出した。
それは「とんすい」という器だが、学芸員に質問したが、
彼は「とんすい」自体を知らなかった。
あまり名称は一般的ではないかもしれないが、誰もが目にしている器で、
鍋物をする際に鍋の具材や汁を入れる小さな持ち手が付いている
「ちりれんげ」といえば判るだろうか。
この「とんすい」も中国から渡来したもので本当のことは判らないのだが、
中国の蓮の花の形をした陶器のさじである「湯匙(たんし・中国語ではタンチー)」が
日本に伝わるときに“とんすい”と誤って伝わったという説もある。

原型は「銚子」と同じように長い柄が付いていたものが、
段々短くなり現在のような形に落ち着いた。
「とんすい」は当て字で「呑水」とも書くのだが、これで酒を飲んでいても
おかしくはないはずだ。

この「とんすい」から派生した器をいくつか考案して実際に制作していた。
有田焼きの「味見千代口(ちょこ)」や中国料理の脇屋友詞さんと組んで
「小籠包レンゲ」(多治見)など商品として販売もしていた。
写真は(有田福泉窯)その中の試作品のひとつである。
また、展覧会を観て新たに手がけてみたいと思った。

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2018年4月20日金曜日

ディープ京都「おいと」のおでん






京都で仕事があり、
祇園「おいと」に

4ヶ月ぶりに訪れた。









京都は高校の修学旅行に1度来ただけで、
実は20年以上足を踏み入れたことが無かった。
30代の頃は、フランスやイタリアなどヨーロッパでの食べ歩きに熱中していたが、
40代になり、ふと日本の料理はほとんど知らないことに気が付き、
それなら京料理から学ぼうと決心し京都通いがはじまった。

そして、20数年ぶりの京都に着いて真っ先に行ったのが祇園の「おいと」だった。
関東炊きとも関西おでんとも違う「おいと」のおでんの中の
”すじ”を初めて食べて衝撃を受けたのだ。
「なに、この味!濃厚なドミグラソースじゃない!」
東京で食べる”すじ”はサメのすじや軟骨の練り物だが、
ここのすじは本当の“牛すじ”なのである。
この“牛すじ”にハマり、京都に来るたびに「おいと」通いがはじまり、
大阪で所用があってもわざわざ、牛すじ食べたさに
京都で途中下車までしていたのだった。

「おいと」の夜は一見さんお断りだが、昼はだれでも入れる店で、
予約ができないので開店前から並ぶ必要がある。
20数年前は開店の12時位でも入れたが、段々人気になり、11時半でも相当並ぶようになった。
「おいと」の大将が元気な時は2回転していたが、
2016年辺りから大将の体力を考えて1回転になり、
さらに早めに並ばなければ食べられないようになってしまった。

昨日は12時半を廻っていたが、平日だったせいか、すんなり入店出来た。
昔は牛すじは最後に頼んでいたが、今は最初に「牛すじと豆腐」を頼むのだ。
濃厚な牛すじを淡白な味の豆腐が受けとめてくれるのだが、
これを、ご飯の上にかけて食べたらさぞや旨いだろうと
いつも心の中で思っているのだ。

一度だけ夜の「おいと」を訪れたことがあるが、一見さんお断りの店なので、
紹介は縄手の老舗骨董店の女将にしてもらった。
昼に偶然この女将と一緒になった時に
「あとから、殿さんきますから」と大将に言っていたら、
本当にお殿様の家系で元首相が入ってきてびっくりしたこともあった。
南座が近いのもあり、歌舞伎役者や芸能人も多いのだが、夜行った時は、
カウンターに昔あこがれだった女優さんがいてドギマギしてしまった。

ただ、夜は一人片手ほどの料金なのでそう易々行ける店ではないのだが、
ここで底知れない、ディープ京都に第1歩を踏みしたハルコだった。

「おいと」に通い通いはじめて四半期近くなるが、
現在大将は最初の一人の客におでんを出して後は任せていて、
相当弱っているようで心配だ。

大好きな京都でいつまでも日本一旨い「牛すじ」が食べるように祈りたい。

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2018年4月17日火曜日

「油」は「ゆ」?「あぶら」?



NHKのあさイチにNYの
三つ星シェフが登場して
スタジオで料理を作っている時に、
アナウンサーが解説で
「オリーブ油(ゆ)」という
言い方が気になってしまった。










レシピを書く際には、「オリーブ油」「オリーブオイル」と表記するが、
文字で書く「オリーブ油」は個人的には「オリーブあぶら」と
考えていたからで、最近は「オリーブオイル」と表記している。

『NHK日本語発音アクセント辞典』には、「オリーブゆ」
しかないようなので、アナウンサーは正しい表現をしているのだが。

「オリーブゆ」と聞くと、頭の中で「オリーブ湯」に
何故か変換されてしまうのだ。
何だか気持ち良さそうな銭湯のイメージだなぁ。

「湯」は水を沸かした「湯」だが、中国料理で「湯」と
言うとスープになり「湯=たん」となる。

これは、「ゆ」は音読みで「あぶら」は訓読みからの
日本語のルールでそうなっているらしい。
「ごま」や「なたね」は日本語の訓なので「ごまあぶら」
「なたねあぶら」と読み、「ごまゆ」「なたねゆ」とは読まない。

鯨を捕った油は「くじらあぶら」ではなく
音読みで「鯨油=げいゆ」となる。

「サラダ油」や「オリーブ油」は外来語で音読みなので
「さらだゆ」「おりーぶゆ」となる理屈なのだが、
何となく釈然としない。

「ゆ」というと柔らかくヘルシーで、「あぶら」というと
キツくてヘルシーじゃないという
差別からなのじゃないのかと勘ぐってしまう。

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2018年4月6日金曜日

ハルコ、常温について多いに悩む。





料理レシピには、
「卵を常温にしておく」という記載がある。
冷蔵庫内の卵の置かれている温度は、
3〜5℃程度で
ゆで卵を作る場合普通は水からゆでる。
しかし、常温が問題なのである。
常温って何だろうか、と重箱の隅を突く
ようなことを考えてしまった。








調べてみると常温は、摂氏15℃をさす(小学館デジタル大辞泉より)。
つまり、冷蔵庫から3〜5℃の卵を取り出し
常温の15℃にするには、10℃以上温度を上げないといけないことになる。

しかし、日本の四季は温度の差が大きく、
年間を通じて15℃というのはありえない。
東京の温度で調べると、だいたい4〜5月の気温になる。
だが、暑い日や寒い日があり常温は一定していない、

まぁ、15℃に卵を戻したとして、次に水からゆでるために
水道水を鍋に注ぎ卵を入れる。

ちょっと待つて欲しい!
今度は水道の温度を見てみよう。
気候温度と水道の温度はほぼ比例して、4~5月の場合の
水道の水温は13℃で常温にした卵と近い。
しかし、1年中で一番寒い1〜2月の水道は5〜6℃くらいとで大変低いのである。
逆に暑い8月の水道の温度は平均27℃で、35℃を越すような酷暑の日に
水道の蛇口から湯が出て来たかと思うほど温かいのだ。
これが、赤道下や南極での常温なんてものが入ったら常温界は大混乱するに違いない!

急激な温度変化は卵の中の膨張を引きおこし、卵の気室にある空気がいっきに膨張して殻が割れてしまうのだ。
そう考えると、冬場に常温にして水に入れると卵は10℃も下がってしまう。
何のために常温にしたのか判らないのである。

常温ひとつとっても「解」は見いだせない。
少し時間をかけて「料理・調理法の解/最終回答」を
これから考察してみよう。

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