2014年3月19日水曜日

電卓

暖かくなったのはいいのですが、毎朝自分のクシャミで目が覚めます。
はい、花粉の季節ですね。
まったく鬱陶しいったらありゃしない!

花粉の話ではなく、今朝の朝刊を読んでいたら「電卓」の記事があったのです。
今や電卓は、携帯やらスマートフォンにまで組み込まれて日常のものになり、100均でも売っているくらい身近な商品ですが、どっこいプロの方々が使用する高額な物から、海外の発展途上国での需要もあり、これから先も何十年も機能としては変わらない、という内容でした。


話は40年程遡ります。
ハルコが就職した先は、雑誌や書籍のデザインを制作するスタジオでした。
ボスのNさんは、当時『家庭画報』のアートディレクターで、ハルコはその下で毎日毎日誌面のレイアウトをしておりました。
何せコンピューターなど無い時代で、紙のレイアウト用紙に鉛筆と三角定規で線を引きながらデザインをしていました。
写真のトリミングは、トレスコープという巨大な暗箱の下に写真を入れて、レンズで透過して拡大縮小しました。さらに拡大する時は、現像用の引き延ばし機に35mmの写真を入れて拡大したものを、鉛筆でなぞるようにスケッチをして、赤と青の鉛筆で印刷屋さんに入れる“指定”を書き込む作業をしていたのです。
当然、コピー機もFAXすら無い時代でしたが、ある日ボスが卓上計算機を買って来たのです。

弁当箱サイズと大きく、電源は電池ではなくコード!
その当時は、原稿はすべて原稿用紙で来るのですが、きちんとマスに書いている人は稀だったので、原稿用紙からはみ出した文字は、その分の「字数」を数えないと全体の文字分量が出ず、レイアウト出来ませんでした。
これがまた大変で、“字詰め”と言って、1行に何文字入れるかを数えます。「1、2、3、4、5……21」と数え、これが何行、何段になるかを計算するのです。
このスペースを出してから写真やイラストのスペースを決めるのですが、文字を数えているだけで疲れます。
その当時、写真のような「数取器」という新兵器が登場するのです。
よく、駅の構内や交差点で交通量を数えているときに使っている、あれです。
これでカチカチすると、間違いが少なくなりますが、非常にアナログですね。

そして、最終兵器・電卓です!
書籍のデザインになると、何百ページもの原稿を数えて、本全体のボリュームを決めます。1行の字数、1ページの行数、章立て……と、1行の字数や1ページの行数が違うだけで、本の原価や定価が変わるのです。
電卓はこの面倒な計算を早く出来たので、凄い!と思いました。
まだ1台の価格が数万円(四則計算しか出来ないもので)の時代の話です。
しかし、電源コードが災いしてよく机から落下し、電卓さまは1ヶ月の短い生涯を終えたのでした。

0 件のコメント:

コメントを投稿