2013年12月25日水曜日

昔の料理は茶色だった!

この季節は、緑と赤のいわゆる「クリスマスカラー」が街に溢れています。
そして、料理もカラフルな料理のなんと多いことでしょうか。
これらは昔なら“ハレの料理”なのでしょうが、今や1年中色とりどりですね。
雑誌やレシピ本の仕事を長く続けておりますが、ある時期を境に料理がカラフルになったと確信しています。
それは「料理の三原色」と(一部で)言われるものでした。
何か撮影のために料理を作る場合、ベースの料理に色数が少なければ色のあるものを追加で入れる(のせる)ことです。

その「料理の三原色」を最初に作り上げたのは、熊谷喜八さんではないでしょうか。35年前の家庭画報の料理は、まさに「3原色」なのです。
喜八さんが唱えて一世風靡した「無国籍料理」は、フレンチをベースにして各国料理をフュージョンさせて作られましたが、また同時にヌーベルキュイジーヌの影響も多分にあるでしょう。韓国や中国、東南アジアの色彩も加わってきましたね。
料理で絵を描くような感覚で、足りない色を素材の赤、黄、緑、白……と加えていくのです。
これはひとつの発見で、非常に写真映えするので、模倣されるようになりました。


元々の日本料理は色彩感覚に富んでいたのも事実です。
しかし昔の一般家庭では料理屋さんの料理ではないので、食卓に乗るのはくすんだ茶系の料理が当たり前でした。
味噌汁、煮物、焼魚……。煮たり焼いたり炊いたりする過程で、茶色になるのです。
昆布や鰹節等でだしを引き、干し椎茸や干し大根、ひじき、豆等の乾物で調理する古くさい料理だけど、しみじみとした味付け。
写真は今から14年前に、今は亡き編集者と企画した「粗食のメニュー」というムックです。
その頃、病気で入院するはめになったハルコが、病室で「日本の病人食と言えばお粥だけど、世界中で病人は何を食べているのだろう?」と考えていたことから発想し、企画したものです。シンプルで体に良い「粗食」をシリーズにしたかったのですが、この1冊のみで終了。
今読み直すと、現在出ていてもおかしくない良い内容ですね(自画自賛)。
来年は「茶色」の普通の料理の復権がある、と思うハルコなのだ!


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