2013年8月29日木曜日

スッカラとチョッカラ

昨日は韓国料理研究家のジョン・キョンファ先生のスタジオで、秋の伊勢丹キッチンステージに登場するメニューの撮影をしておりました。
キョンファ先生には、ハルコの雑誌連載時にも3度も登場していただき、韓国(朝鮮)料理のお師匠さんでもあり、随分と韓国の食文化について学んだのです。


以前から日本、朝鮮半島、中国と東南アジアにおける食文化には、大変興味を持っていました。その中でも、箸、匙、器、膳の立ち位置が気になっているのです。
箸を中心に食べる日本食に対し、韓国では匙を中心にして食べ、匙を「スッカラ」、箸を「チョッカラ」と呼んでいるのです。

現在では椅子にテーブルという食生活が日本でも普通になっていますが、昔はお膳が中心だったのです。
日本の膳の脚は短いので、食事する時に器を手で持たないと食事が出来ません。
当然、汁物も持ち上げて器に口を付けるという形式で、熱くても手で持てるように木製の器が中心になりました。
韓国では膳の脚が高く、30センチもあるので器を持つ必要が無いのでスッカラ(匙)を使い、汁ものでもご飯ものでもスッカラで食べる上に、器が真鍮などの金属なので手で持つには熱く、膳の上に置いて食べるのが普通です。
似たような食文化であるにも関わらず、匙と箸のどちらに比重を置くか、というのは興味を引かれるものですね。

しかし、百済などから文化が伝わってきた古代の日本では、膳の脚は高いものが多く、どの段階から脚が短くなり現在の日本の食文化が形作られてきたか、興味があります。
幼少の頃、一度父の生家に行った時の食事はそれぞれが箱膳の形をしており、銘々膳でした。箱膳なので、それぞれの器や箸は箱の中の収納され、さらに大きな箱膳納戸があったことを覚えています。
食べ終わったあと、それぞれがその場で白湯で器をきれいにして、洗わずにそのまま箱の中に納めているのを見て、母親は不潔だと思ったと話してくれたことがありました。
そう考えると、日本の100年の食文化は世界的に見ても異常な変化をしたのだと思わざるをえませんね。

0 件のコメント:

コメントを投稿