2013年5月29日水曜日

こんにゃく問答


八五郎さんてぇご仁が、田舎の村のこんにゃく屋で世話になり、村の空き寺の和尚になった所から始まるのが、落語の「こんにゃく問答」でございます。

この寺へ、永平寺の諸国行脚の雲水の僧が問答に参ったのです。
そして、こんにゃく屋のご主人六兵衛さんがにわか和尚になり、雲水と問答を始めるのですが、何を聞かれても黙ったままで、相手の僧は無言の行と勘違いしてしまい、両手の親指と人差し指で自分の胸の前に輪を作って前へ突き出しました。
すると和尚に扮した六兵衛さんへは両手で大きな輪を作って見せたのでございます。
相手の僧は「ははっ!」と平伏いたしました。

次に僧は、今度は10本の指を前に突き出し、六兵衛はそれを見ると5本の指をぐっと突き出した。またまた相手の僧は平伏するのでございます。

次に、僧は3本の指を立て前に突き出しますと、六兵衛さんは目の下に指を置き大きく「あかんべえ」をいたいました。すると相手の僧は恐れ入って平伏し、逃げるように立ち去ったのです。

帰りぎわに八五郎が、僧に問答はどっちが勝ったのか聞きますと、自分の負けと言ったのです。
何を聞いても黙っているので無言の行だとと悟り、「和尚の胸中は?」と問うと、「大海のごとし」という答え。
「十方世界は」と問えば、「五戒で保つ」との仰せ。
もう一問、「三尊の弥陀は?」と問えば、「目の下にあり」という答だというのです。
到底、愚僧の敵う相手ではないので、修行して出直してくると言い、逃げるように退散したのですが、こんにゃく屋の六兵衛さんは怒っていました。

こんにゃく屋の六兵衛さん曰く「今のは永平寺の僧なんかじゃない、ここいらをうろついている、ただの乞食坊主だ」と。
「俺がこんにゃく屋の親父だとわかったもんだから、おまえの所のこんにゃくはこれっぽっちだと小さい丸をこしらえて、手でケチをつけやがった。俺の所のこんにゃくは、こんなに大きいと手を広げてやると、今度は10丁でいくらかと値を聞いてきたので、
五百だって言ったら、しみったれ坊主が、三百に負けろっていうから、あかんべえをしたんだ」と言うのが「こんにゃく問答」で、ハルコはこの噺が大好きなのです。

本日は「こんにゃくの日」でございます。
お後はございませんが……。

「こんにゃくだけに、今夜喰う」

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