2013年4月30日火曜日

佐伯義勝「料理写真の世界」

連休の半ばですが、前半は仕事しているハルコです。

昨日、佐伯義勝先生の写真展用の写真集が届きました。
中をパラパラと見ていくうちに、涙が滲んできました。
写真の取り方が違うので、イマドキのカメラマンの写真ではないのです。
隅々までピントが来て、全体にクリアなのです。
時代は変わり、もうこのような写真の世界観ではなくなってしまいましたが、存在感の溢れる写真ばかりです。


家庭画報のデザインをしている事務所に入って仕事を始めた頃、毎月巻頭の料理写真は佐伯義勝先生でした。
毎日毎日、雑誌や書籍のレイアウトをして、届いた写真のポジ袋には「佐伯義勝」の名前がプリントされており、他のカメラマンとは格が違いました。
独立して南青山で小さな事務所兼住居を持ち、家庭画報の仕事をいただいていた頃、青山紀伊國屋に行きました。既知の家庭画報の編集者が大きな果物の籠を持っていたので、聞いてみたら「これから佐伯スタジオに行くの」
まだ若輩のハルコには佐伯先生は仰ぎ見る存在で、「やはり佐伯先生は凄いなぁ」と思ったのです。

そして、初めて佐伯スタジオに行ったのは、確かキリンビールの撮影でした。
先生が好きだと聞いていたケーキを、山ほど買い込んで出かけたのを昨日のように思い出します。
その後も随分、佐伯先生とは一緒にお仕事もしました。
今田美奈子さんの本を作る時、今田さんの「薔薇の館」に佐伯先生と数日間通いました。毎日甘い物漬けで、ついにある日「用がある」と言って、昼に近所のラーメン屋さんでラーメンと餃子とビールを飲んで帰り(今考えるとやんちゃでした)、スタジオの裏で爆睡!
その後、佐伯先生はことある毎に「後藤さんは、私の撮影に時に抜け出し、ラーメンとビールを食べに行って寝てたんですよ」と言っておられました。
どうも、佐伯先生も甘いのが続いて嫌になっていたのでしょうね。

写真展は5月3日より9日まで、東京ミッドタウンの「富士フィルムフォトサロン」で開催されます。
ミッドタウンや六本木ヒルズに遊びがてら、是非お時間のある方はご高覧お願いします。戦後日本のそのままの料理写真の歴史です。
大阪では、7月19日より御堂筋線本町駅「富士フィルムフォトサロン大阪」で巡回展があります。

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