2013年3月12日火曜日

箸……3 濡れた箸!?

日本で生活している限りほとんど毎日、を持たない日はないと思います。
まぁ、洋食のみでフォーク、ナイフしか使わない、という人もいるかもしれませんが。
そんな、箸のお話の続きです。


以前、京都の祇園のとある有名な日本料理店に、予約を入れた時のことです。
個室は別にあるのですが、オヤジさんの手さばきを見られるので、L字型のカウンターでの食事でした。端には、超有名俳優さんがお一人で食事をしておりました。
カウンターに座っていたのは、ハルコとオクサマにその俳優さんと、後から入ってきた若い男性客の4人だけでした。
こういう店に一人でくる男性客は、修行中の料理人さんが多いのです。
大体見ていると判りますが、休みを取って勉強のために京都で食べ歩きしているのですね。お酒を頼まず、お茶だけで食事をなさってます。
そんなことを思っていたら、そのお客さんの前にお敷きが置かれ、当然箸が添えられました。
すると突然、「この箸、濡れているから替えてください」
店中の目がその若い料理人(たぶん)に注がれ、一瞬間が空いたのです。
ご主人は「はい」と言って箸を替えましたが、何を思っていたのでしょうか。

この話、当然だと思う人もいるのも事実ですが、箸が食事の前に手を洗う、もしくは拭くという行為の延長線上にあると考えれば、箸も水で濡らして清めているのです。
彼の文化レベルでは、箸は乾燥しているもの、一流料理店で塗れた箸が出てくるのは間違いで、箸を替えてもらって当然である。という認識だったんでしょうね。
彼は、食文化の奥深いことを学び損ねているんですね。
(続く)

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