2013年1月19日土曜日

ティス先生の料理科学

昨年末の給湯管からの漏水で階下が水浸しで、わが家はでも検査工事から復旧工事まで
3週間かかり、取り敢えず工事は終了しましたが、あちこち床に穴を開けたので、今年はリフォームしなくてはならず、頭の痛い問題です。
それと、この3週間シャワーだけは使えるようにしてもらったのですが、お湯が使えず大変でした。
復旧して、蛇口をひねるとお湯が出てくるのは、本当にすごいことだと思いました。

さて、料理も現在の形になるまでは、テクノロジーの進化と調理科学の発達も当然ありますね。
昨年公開のフランス映画『シェフ』では笑いの対象でしたが、まだ再考の余地のあるエルヴェ・ティス先生の一連の本のご紹介の再録です。

小さい頃ハルコは虚弱で(本当です)食が偏った子どもでした。
産まれた時に非常に強い黄疸になり、毎月自家中毒で発熱と嘔吐で2、3日寝込む症状が10歳まで続きました。
そして食は細く、ガリガリに痩せていました(今のハルコを見るとその話をしても誰も信じてくれませんが)。
食事の時間は苦痛の時間でもありました。嫌いな物が多くいつも食べ残しては怒られていたのです。
そんなハルコは、その頃の子ども向け雑誌に掲載されていた「未来の食事」という巻頭グラビアに強く惹かれました。
“1日の食事は朝は少しのカプセルを飲みだけで充分”というような内容で、一家が食卓で皿の上のカプセルを飲む(食べる)挿絵付です。
ハルコは、これなら食べる苦痛が無くて良い!と、真剣に思ったのでした。
それから長い月日が流れ(きみまろ風に)、今やDEBUと言われようと食に意地汚いハルコになりました。
何だかカプセルの未来の食事を思い出すと「分子調理法」を連想してしましまいした。
はたして、「分子調理法」『随園食単」『美味礼賛』と繋がるかと問われれば、自信はありませんが、何らかの“解”を含んでいるような気がします。

『フランス料理の「なぜ」に答える』エルヴェ・ティス(柴田書店)
『フランス料理の「なぞ」を解く』エルヴェティス(柴田書店)

「分子調理法(Gastronomie Moleculaire)」「分子ガストロノミー(Molecular Gastronomy)仏英での言葉の違いや“調理法”“料理法”色々とありますが、調理の過程で食材の変化を化学的に分析して、料理に対しての新しい仮説を“科学的に創造証明する”と、ハルコ的には解釈しています。
この考え方に賛同し、協力をしている科学者や料理人は未来の料理を開拓するパイオニア的な存在です。
その中で中心的な役割をはたしているのが、フランスの物理学者エルヴェ・ティスなのです。
あらゆる料理は物理化学の“式”で表せると、二つの要素から考察したのです。
1の要素……食材の状態
G(ガス)気体 W(ウォーター)液体 O(オイル)油脂 S(ソリッド)個体
2の要素……G W O Sの4つの要素がどういう分子運動でつながっているか
/分散 +併存 ⊃包含 結合 σ重層
この2つの要素の組合わせで、あらゆる料理の成り立ちが証明出来るとティス先生は考えているのです。
うむ。何だか難しいですね。
そこから、素材を過去に考えられない形状にすることよって、味覚を変えてしまうのです。
「液体のようで、液体じゃない。気体のようで気体じゃない……」
「甘いと思ったら、辛い。辛いと思ったら、苦い……」
この方程式で、すでに私たちが知らない間に味覚を違う方向へと誘導されているかもしれませんね。この「分子調理法」はまだ、歴史的な視点での評価はされてません。
はたして、『随園食単』『美味礼賛(味覚の生理学)』の後嗣となるかは時間を要しますね。
ハルコは調理器具の開発もしておりますが、その際にティス先生の2冊の本を、非常に参考にさせてもらっています。この2冊は調理科学という視点ではわかり易いテキストだと思います。

写真の雑誌はティス先生の分子料理法が掲載された『BRUTUS』570号と朝日新聞GLOBE「料理と科学が出会う時」の掲載号です。

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