2012年11月16日金曜日

職業としての料理研究家……その5

料理研究家ってどんな職業だろう?という疑問だけで、思いつくままに書いてきましたが、エンドレスな内容になりそうなので、今日が一応最終回です。


昔、フリーランスになった頃、ある仕事(もう、何の仕事かも思い出せない!)の最初の打ち合わせの時に行った時の話です。
まず、名刺を出して自己紹介するのですが、相手の女性がハルコに名刺を出して「わたくし、詩人です」とおっしゃったのです。
いや、衝撃的でしたね。
詩人ですよ(全国の詩人の方他意はございません)。生まれてはじめて、詩人という方に会ったのですね。
その時に、「詩人って職業?」と思ったのです。確かに職業ですが、詩を書いてどのくらいの人が生計を立てられているのか。
その女性も職業は“詩人”で、仕事はコピーや原稿を書いて生計を立てているとのことでしたが、キッパリ「詩人です」とおっしゃっていたのです。

話は元に戻り、料理研究家は職業名で、仕事は例えば料理教室を主宰したり(王道ですね)、レシピを考案して雑誌に発表したり……。活躍の場はたくさんあります。
ここからは私論です。料理研究家という職種職業は昔に比較して随分増加していると思います。
ハルコは本業の傍ら(これも何が本業か不明ですが)、「現代食文化研究室」という名称で日々“食文化”の研究(?)をしているのです。

日本が太平洋戦争(第二次世界大戦)の最中に食糧事情が悪くなり、喰うや喰わずの世の中で戦争中の親世代は、子ども達次世代に家庭の味や料理レシピを伝授出来なかった、と仮定します。
本来は、母娘を軸に伝わるはずの料理が途絶えてしまった。そうすると、次世代は本来母親から教わるべき料理や、調理技術がまったく無いままに成人したベビーブーム世代が、花嫁修業のために料理学校(江上料理学院のような)に通い始めて活況化します。
やがて結婚したベビーブーム世代には、豊かになった日本の食生活を背景とした多国籍の料理が溢れ、ここに多くの“料理を研究する人”のマーケットが創造されたのではないでしょうか。
その中から、さらに次世代の料理研究家が生まれて、食ばかりではなく生活全般への提案と憧れという形で料理研究家がスター化していき、その活動を受けてさらに料理研究家は職業としての需要に支えられて、層を厚くしたのではないか……と、ここまでがちょっと大雑把な流れだとハルコは考えるのです。

そして現在料理研究家自体の飽和と、ネットでの新しい世代の出現により、大きく変化しているのも事実です。
ネットで自由にレシピが手に入り、簡単に誰でも手軽に“ネットを通じて教わる”時代に。さらに、自分の料理を写真とレシピ付きで発表することもできるのです。
プロとアマの区別の付け難いものは、コンピュータやインターネットの発達により顕著になりました。
少しネット時代の料理研究家を研究してみましょうか。
うむ、ハルコの肩書きは「料理研究家の研究家」!

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