2012年8月29日水曜日

千両みかん


何だか落語が聞きたい気分。
自分で分析するに、大分疲れが溜まっているんでしょうか。

前なら、疲れている時は秘蔵の「クレージーキャッツデラックス」というビデオを(それもβですよ)何も言わずに見ていると、オクサマも「あぁ、ハルコは疲れているんだわ」と察してくれました。
「クレージーキャッツデラックス」は、クレージーキャッツの映画の音楽部分のみを繋げたビデオで、確か大滝詠一が構成していました。
植木等の歌をボーッと聞いているうちに、何だか悩んでいるのがバカバカしくなる優れものでしたが、いつの間にか行方不明になってしまいました。

そこで、落語です。
丁度夏の噺なら「千両みかん」が好きです。
もう、30年も前になるのですが、先代(10代目)金原亭馬生さんの「千両みかん」を寄席で聞いていたのです。

噺は真夏の暑い盛り。大店の若旦那が病気で危ない。若旦那に何か欲しい物はないかと大旦那が聞いたところ「みかんが食べたい」
当然江戸時代に冷蔵庫なんかないのですが、番頭さんが大旦那に呼ばれ、倅のためになんとしてもみかんを捜してくるように、と申し付けます。
番頭さん江戸中を汗みずくになり、やっと探し当てましたが、これがみかん1個で千両!
大旦那は倅の命には替えられないと、みかんに千両を出します。
若旦那はみかん3房を食べて元気になり、番頭さんに「お前も食べなさい」と勧めたら、番頭さんそのみかんを持ち逃げして終わるのですが、馬生さんの高座は真に迫るものでした。

馬生さんは古今亭志ん生の長男で、酒しか飲まない生活で身体を壊していました。
これが最後の高座で、江戸落語では使いませんが、釈台によりかかり、はじめと終わりは緞帳が上げ下げしてました。

8月に馬生さんを観たのが最後で、翌9月13日に54歳の生涯を閉じたのです。
本当は、これの続きで「千両みかん」をパロディーにした、中島らも落語も超面白いのですが、お後がよろしいようで。

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