2012年8月24日金曜日

朝目覚める。
の隣にいる女性は妻である。妻にとって私はである。
名前を呼ばれる時は「ハルコ」で、私は「オクサマ」と呼ぶ。
世間は私達を夫婦と呼ぶが、当然若夫婦という年齢ではない。

今日は、朝早くから広尾の日赤病院で定期検査の日である。
地下鉄に乗車する私は乗客と呼ばれる。定期も更新したばかりで移動には差し支えないが、もしも「キセル」をしたら私は薩摩守只乗と呼ばれる。
地下鉄から出てタクシーに乗った私は、乗車客になり運転手さんに料金を支払う。

病院に入った私は、その時から患者IDカードを所有している外来患者になり、血液採取センターでは番号12で呼ばれて、試験管の名前の確認の時に「後藤晴彦」さんで確認してください。私に間違いありません。ここから私はドラキュラに血液を抜かれる気分のハルコ(独白)になる。
検査がの結果が出て予約時間まで間がある私は、首から呼び出し子機をぶら下げて、この病院の中では不審な人ではないことを装う善良な外来患者である。
が、その実体は写真のネタを捜してうろつく変なオジさんである。
問診がはじまり、担当主治医のH先生の元で私はあいも変わらず中性脂肪値の高い患者であり、この会話はほぼ10年変わらない。
会計を済ませて外に出た私は、外見から見て患者なのか見舞いの客なのか、はっきりしないので少し不安になる。

不安になった私はバスの乗客になり、渋谷へ向かう。
バスを降りて歩道を歩く歩行者になり、駅の中を通り、いつもの立ち食い蕎麦屋の客になって入る。
蕎麦を食べながら写真を撮る、店から見たら不審な客でである。
幸いにしてお金は事前に払っているので無銭飲食の客とは見られないが、やはり変なオジさんであることに変わりはない。


駅のキオスクでパスモで漫画雑誌を購入する漫画の好きな客になり、私は地下鉄の乗客になる。車内では先ほど購入した漫画を読む変なオジさんである。
地下鉄を降りて院外処方の薬をもらい薬局の客になり、また番号札を渡されて私は薬を待つ客になる。薬を貰い料金を払い客として薬局を出て、歩行者になり事務所に向かう。

事務所では社員から「後藤さん」と呼ばれる私だが、一応肩書きは社長である。
しかし、スタッフには「社長はおりますか?」という電話は一切取り次がない様に言ってある。

朝の数時間で私は幾つの立場になっていだのだろうか。
時々夢想する私でした。

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