2012年7月25日水曜日

味覚の嗜好が変わる時

先日、大変辛い料理を食べる会に参加しましたが、ほとんど食べることが出来ませんでした。ハルコ、自慢じゃありませんが昔は“辛いもの敵無し!”でした。
人から見ると、バッカじゃないの!?と思われるくらい、辛い物を食べられることを誇りに(?)思ってました。

人生で何度となく、コップの水が溢れる様に、それまで大好物だった物が突然ダメになる瞬間があるのです。
30代の半ば頃から、段階的に変化してゆきました。その頃はタイに辛い物ばかりを求めて行っており、前日まで平気だった料理がそれこそ、「あっ、コップの水が溢れた!」と感じるくらいに食べられなくなり、思わず辛さ、痛さに涙が出てきました。
それでも、オクサマ曰く「普通の人並みになったのよ、今までが異常だったのよ」
それが、先日の辛い物の会で、コップから溢れたのではなく、完全に辛い物コップが壊れてしまいました。
そうなると、ちょっとした辛さでも敏感に味蕾が反応するのですね。

次に甘い物ですが、これは元から甘い味に強くないのです。
甘すぎる物を食べるとからだがプルプル震えます。と、いうより受け付けないので最初から味覚の幅は狭いのです。
苦い物(大人の味と言われていますが)はもとより嫌いなので、受け付けません。未だにゴーやチャンプルーは苦手です。

さらに苦手な物、それは酸味です。
ハルコが色々な料理人の元で修行する、という趣旨で雑誌連載をしておりましたが、その中のテーマのひとつは「酢の克服」だったのです。
しかし、酸味に関しては以前から低いレベルだったので、この数十年間変動しておりませんね。
さて、五味の最後は塩味ですが、これも以前よりはしょっぱい物を好まなくなりました。血圧が高めなので、本当は塩分は注意しなくてはならないのですが。

あぁ、五味に追加で「うまみ」を忘れる所でした。
このうまみに関しては若い頃より、「味が判る」ようになったような気がします。味覚の中で一番、齢と共に広がったような気がします。

そして最大の味覚の広がりは、素材そのものの持つ味です。
何も味付けしない味が旨い、と思うことが最大の変化でしょうか。
味覚の年齢別の曲線では、幼少期と老年期は甘い物に一番反応します。甘い物が一番判りやすい味だからですね。

人類にとって「味」は、自然界に存在する「毒」をどう見分けるかという味覚の歴史です。苦い物、酸っぱい物は最初から毒物の危険性の味覚でもあったのです。
齢と共に味覚は変化し、段々幅が狭くなってきますが、それも楽しみのひとつだと思う事にしております。
ハルコの師匠の野崎洋光さんは、よく「その料理は食べ物の素材の味なのか、調味料の味なのか、よく理解するように」とおっしゃっていました。自戒いたします。

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