2012年3月9日金曜日

“さしすせそ”の謎


調味料を入れる順番の、“さしすせそ”はお馴染みの言葉だと思います。
“さ”は砂糖、“し”は塩、“す”は酢、“せ”は醤油(しょうゆの古い仮名遣いは“せうゆ”)、“そ”は味噌のことです。
和食のレシピ本を見ると、ほとんど“さしすせそ”の順番に入れると書かれています。
なぜこの順番なのか、あるいは違うのか、というのが今回のお話です。調理科学、または理科の実験でもあります。

最初の理屈は、濃度の違う液体が混じり始めると濃度の濃い方から薄い方へ、また薄い方から濃い方へと液体は移動します。これを「拡散」と言います。味付けはこの拡散と「浸透」の組み合わせだ、と言っても過言ではありません。

次の理屈は、“さしすせそ”で一番大切な部分は“さ”の砂糖“し”の塩の順番です。砂糖と塩の分子量を比べると、塩は砂糖より分子量が1/6と小さいので、素材に浸透しやすい上に、素材から水分を引き出して組織を引き締めるため、後からの調味料が入りにくくなります。それゆえ、塩の6倍の分子量を持つ砂糖から先に入れるのです。
次に“す”の酢は野菜の変色を防いだり、魚や肉の臭みを取る時は最初に入れ、酸味をつけたり、塩辛さをやわらげる時には、最後に使います。何が何でも3番目というわけではありませんからね。
“せ”の醤油“そ”の味噌はいずれも香りを大切にする調味料なので、火からおろす直前に加えるものです。しかし、煮物で塩を使わずに醤油だけで煮込む場合は、何回かに分けて醤油で味を染込ませ、最後の香り付けに、もう一回醤油を加えます。
味噌も最後に加えて、香りを残すようにしますが、さばの味噌煮などの臭みを取るためには最初から加える場合もあります。
煮魚の場合は、魚自体に味を染込ませるわけではないので、最初から合わせ調味料としていっぺんに入れてしまいます。

それぞれの調味料の役割と使い方次第で料理の旨さに差が出てきます。しっかりと会得しましょうね、ハルコさん!

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