2012年3月2日金曜日

てんぷらの“名”は?


今や、てんぷらは海外でも「スシ、テンプラ、スキヤキ」と日本料理の代表になっています。しかし、ご存じの方も多いと思いますが、日本が発祥ではありません。
「江戸前を名乗っているにも関わらず、鮨、鰻、蕎麦は落語のネタになっているのに、てんぷらが登場する噺はありません」
 (春風亭小朝師匠)

油を使う揚物料理自体は、中国から留学僧などを通して、日本に伝来した禅林料理であることは確かなのですが、てんぷらの語源の名称は、諸説有り過ぎてどれが本当なのか判りません。
さて、てんぷらって一体何なんでしょうか?

その一、ポルトガル語「テンペロ(料理)」説。
似たようなものに、「テンポラ(金曜日の祭)」「テンポラ(スペイン語の四季の斎日)」があります。あぁ、ややこしい。
また、「テンプル(寺の精進料理)」や、イタリアの絵画の技法「テンペラ」と、すべて種子島にポルトガル船が漂着した以降の説なのだけは確かなのです。

その二、南蛮料理「テンフラリ」説。
これは、いろいろな料理が合体したてんぷらの原型みたいなもので、小麦粉をまぶして豚の油で揚げた、ヨーロッパのフリッターに近い料理ですね。

その三、関西の魚のすり身を揚げた「てんぷら」説。
これはてんぷらというよりも、関東で言う「薩摩揚げ」なので、名称はてんぷらでも、違う料理になり、またよく判らなくなってしまいます。この呼び方は、現在でも地方によっては用いられているそうです。

その四、てんぷらが「天麩羅」に。
今まで、ず〜っと、ひらがなの「てんぷら」で通してきましたが、ご存じの漢字の「天麩羅」です。
文化3年山東京伝『蜘蛛の糸巻』に、天竺の「天」にぷらり「麩羅」とあらわれる「天麩羅」の当て字を用いています。また、てんぷらの名付け親は、平賀源内という説もあります。

どうです、増々わかりにくくなりましたね。実は、このてんぷら語源論争は、江戸時代から二百年以上に渡って続けられているのです。
一つの説だけで、知ったかぶりするのは自戒しましょう。はい。

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