2012年3月1日木曜日

スープその名は “レストラン”


まだ寒い日が続いていますね。今日は体を温めるスープのお話です。
私達が日常で使っている「レストラン」という言葉が実は料理名だったと知ったらびっくりしますか?
16世紀末の料理書には、(料理名の)レストランは牛肉・羊肉などのたくさんの種類の肉と、タマネギなどの野菜の“ごった煮”とあります。フランス革命後の1765年に、パリの飲食店主ブーランジュが、羊の足肉を入れたソースブランの煮込の料理を作り、「レストラン」と命名して大評判となり、店が繁昌したとあります。

では、レストランとは何かと言うと、レスト(rest)休息する・元気を回復させるという意味の、ラテン語の“resutaurer”から命名されているのです。「レストラン」という言葉はよく出来ている言葉です。

さて、どうも私達は“スープ”“ポタージュ”を取り混ぜて使っているようです。
日本での区分は、ポタージュは“濃いスープ”、コンソメは“澄んだスープ”と思っているのが一般的でしょうか。
昔はパンを頻繁に作れないので、保存のために思いっきり固い状態にして、この固いパンを煮汁やワインに浸し、柔らかくして食べていました。現在でもスープに入れる、揚げて賽の目状にした“クルトン”がありますが、実はこの時代の固いパンの名残りなのです。面白いでしょう。

そこで、ポタージュとスープはどう違うのかを調べてみました。辻調理師専門学校の『西洋料理便覧』の区分に従うと以下のようになります。
「澄んでいるポタージュ群。
 この中には、温かいコンソメ、冷たいコンソメ、ゼリー状のコンソメがあります。

 次にトロミのあるポタージュ群には、
 濾したもの、クリームを加えたもの、つなぎのしてあるコンソメ、そしてスープ。
 ビスクでお馴染みの甲殻類のポタージュは、材料の形をそろえて切ったもの」

何だか判りそうで判りにくいですね。
つまり、フランス料理の体系の中では、ほとんどのスープはポタージュ群の中の一部門なのです。
しかし、ポタージュやスープも「分子調理法」などの新しい考え方で、ムース状だけれどスープの味になる、といった進化を続けているのです。
※写真のスープは「ブラッスリークール(菊池憲一郎さん)」のクラムチャウダーです。

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