2012年1月9日月曜日

食の批評へ……食事感想文


“グルメ”という言葉が一般化した年を特定するのは難しいですが、1984年に東京・関西フランス料理店ガイド『グルマン』が刊行された頃、料理評論家の見田盛夫さん辺りから言われてきたと思います。

1986年の流行語大賞で金賞になった言葉に「究極」というのがあります。もちろん雁屋哲さんの漫画『美味しんぼ』の中に頻繁に出てきます。
「gourmet」はご存知のようにフランス語で「食通・美食家」を表す言葉で「gourmand」「食い道楽・食いしん坊・大食漢」ですね。
「グルメ」という言葉が日本語化して、早30年近くになります。その「グルメ」すら食通や美食家という意味からどんどん軽く「おいしいもの」程度に“落ちぶれて”しまったような気がします。

料理を作る側と食べる側は、料理を通して関係が成り立つのですが、大きな違いは基本的に料理を作り提供する側はプロだということです(そう望みたいものですが)。
そして、料理を食べる側はアマチュア(素人)であるということです。
ただ、料理のプロが不味い料理しか作れなかったり、食べる側が玄人並の腕前を持っていることも多々あるでしょう。

料理に対する感想は、小さな子どもから大人まで簡単に表現することが可能な世界です。
「グルメ」という言葉が一般化する以前は、料理を云々というのは限られた人達でした。
獅子文六、檀一雄、池波正太郎……。彼らは本当に食通、美食家という言葉が似合う人々でその文章を読んで食べることの出来ない料理を庶民は想像したものです。
それが、時代を経ていつの間にか「グルメ」が大衆化し、状況を伝える「食事感想文」になってしまったのです。それが良いことか悪いことかの是非は問えませんが、そのために多大な弊害も生じたのも事実です。
かく言うハルコもある時に、レストラン評論を目指してた時がありました。
師匠はその頃『グルマン』山本益博さんと一緒に出していた見田盛夫さんですが、ある時、見田さんとご飯を食べていた時に、海外での食べ歩きの絵日記をお見せしたところ、「ホッホッホ、素人はお気楽で良いねぇ~」と、言われてしまいました。
(続く)

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