2011年12月24日土曜日

調味料は進化しているのか?…6 UMAMI


調味料に関して5回に渡って過去からの考察をしてきました(ハルコブログとしては非常に堅い内容ですね)。
食に国境が有るか無いか、という視点では無いと思うのですが、リアルな食材になるとそれぞれの事情があり、その国に行かないと食べることが難しいものが多々あります。
しかしこの10数年で、以前では考えられない食材が私達の食卓に並ぶようになりました。

日本列島は島国ゆえに、海外から流入して来た文化がそのままの形で残る特有の形態を持ってます。それは「文化のパーマネント化」という概念で表されています。
食に関しても、日本に入ってきた当時のまま本国では無くなってしまっている食文化が融合して、日本の食文化の一部を形成したり、逆に「天ぷら」などのように日本料理の代表のようになっているものもありますね。

この1年、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)をどうするかで、賛否両論あります。
世界三大料理(フレンチ、中華、トルコ。トルコの部分に自国を入れる考え方もあり)は、国境を越えて浸透してきました。
日本においては、フレンチ(変形で洋食)中華に、イタリアン、韓国……。と本国を凌駕する数々の店と家庭で食卓に並ぶ世界の料理を享受している民族は他に無いですね。
日本食も、海外では高級料理(オートキュィジーヌ)として認知されていますね。日本料理、鮨、天ぷら等海外で成功している事例も多いです。
以前モスクワに旅行に行った際に、方々で“すし”“うどん”の看板が目に付きました。
ガイドさんに話を聞くと「ロシア料理を出すのだけど、日本食も食べられると客が入るの」とのことでしたが、ピロシキにうどんとか、ボルシチにすしの組合せって? と、思いつつ日本の食卓もかなり国際的でしたね。

日本料理(和食)を突き詰めていくと「うまみ」に到達します。
「甘・酸・塩・苦」の他に第5味覚の「うまみ」があります。昆布のグルタミン酸、鰹節のイノシン酸、椎茸のグアルン酸などの味ですね。
1907年(明治40年)に池田菊苗博士が昆布からグルタミン酸を抽出して、味の素の二代目鈴木三郎助と共同で、この工業化に成功して第5の味覚「うまみ」が登場してから100年以上になります。
この「うまみ」は化学工業製品として世界に進出したのですが、時代はケミカルな「うまみ」に対して距離を置くようになりました。味の素でも「だしcafe」でだしの取り方を教えているくらいです。
ただ、多くのケミカルな成分を混合した味と、極力自然に近い味を再現する方向と、この動きは両極に分かれていくしかないですね。

現在日本では、自然に近い食生活をしたいと考えている人々が増えているのも事実ですが、全く関心の無い層が最大勢力です。
「うまみ」が国境を越えて「UMAMI」として認知されていますが、それぞれの国への自然なUMAMIの浸透はその国の水事情と食文化を精査しないといけませんね。
ハルコには何故か常に「だし」「UMAMI」に関係する仕事があります。
調味料の形態として「UMAMI」をいかに扱うか、調味料としての進化を来年はさらに考察してみます。

●調味料の進化系Umaminature
大阪松前屋さんの食べる調味料「ウマミナチュレ」です。
umamiを進化させた「昆布の水塩」を産んだ大阪の昆布の老舗店です。来年100周年を迎えますが、日本のumami文化を積極的に海外に発信しております。
写真は台湾版「ウマミナチュレ」ポスターです。

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