2011年12月20日火曜日

調味料は進化しているのか?…2 塩の専売制の廃止


料理の調味料で何が一番か、と考えると「塩」以外はありません。調味料として塩以上に重要なものはないですね。

また、このが一番難しい調味料でもあります。料理の腕は塩で決まると考えても良いですね。しかし塩分の取り過ぎは危険視され、何だか糖分や脂肪分と同じ様に悪者扱いされています。
歴史では(現在でも)、食料が無くなり飢饉が起きますが、「塩飢饉」という言葉もあるのをご存知しょうか? 塩が不足して人間や家畜までが弱ってしまうことで、アメリカの南北戦争は南部の「塩飢饉」で負けたと言う説もあるくらいです。

食品がほぼ何でも揃う現在に対して、非常に厳しい規制のある時代がありました。現在でも防疫法の観点から輸入や海外への持ち出し制限のある物も多々あります。
明治末期に、上方落語の桂文三「改良ぜんざい」という落語を発表しました。それを東西の噺家さんが、変化しながら現在でも演じられるようになり「ぜんざい公社」という傑作になったのです。
何故こんな落語の話をするのかというと、1905年(明治38年)大蔵省専売局が設置されて、塩が国直轄の「専売制」になったのです。
この頃、日露戦争の財源確保のために、塩に「非常特別法」という税金をかける案が出たのですが、これに反対する勢力が塩を専売制度にしたのです。
塩というのは非常に政治的な生産物だったのです。通常、塩というと家庭で料理する塩を思い浮かべますが、日本の塩消費の80%は工業用の原料なのです。
落語「ぜんざい公社」のあらすじは、一杯のぜんざいを食べるためにお役所の中をあっちこっち、仕舞いには健康診断書が必要となり……(塩が大蔵省専売局から日本専売公社に移行したのは1949年)。

そんな公社が付くお役所ですが、大規模な製造と専売によって大きな利益を産んでいくわけです。何回か専売法を変えるという動きがありましたが、やっと1997年に専売制が廃止されて、日本専売公社から「日本たばこ産業株式会社(JT)」に移行し、専売公社の事務は「財団法人塩事業センター」になったのです。
完全に塩の製造販売が自由化されたのは2002年からで、わずかここ10年のことですね。そして日本全国で「自然塩ブーム」が起きるのです。
それまでの専売法の元での「塩化ナトリウム純度の高い」精製塩から、それぞれの製法で作られた特色のある塩が家庭で使用されはじめました。
その頃進んでいるレストランは、各自入手した塩を料理の味の決め手としてアピールしていました。
 料理のレシピでも「日本の塩は不味いから」と半分諦め気味の料理研究家の皆さんも、好みの塩を使える時代が到来したと喜んだものです。
それまでの専売公社の精製塩から、味に深みのある塩を調味料に使うという試みをする方々も多くなりました。

1997年から2002年、今から9~14年前に現在に繋がる「調味料の進化」が始まったという仮説がスタートします。

●日々是甚六の傑作「オムライス」
確かに美味しいオムライスを出す専門店は多々あります。が、甚六の「オムライス」はハルコ今年食べた料理のトップ5に入る味でした。
ハルコは常々、甚六のレシピを電子書籍化したいと考えていました。甚六ファンの力を総結集(?なんのことですか)して、来年はやりましょう!

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