2011年10月5日水曜日

下手は上手の鏡

クラブ・デ・トラントはまだまだ続きますが、ちょっとお休みです。

気が付くと8月8日から始めたブログも今日で51回目です。
この所(かなり真面目な)固い内容が続いていたので箸休めを。
うむ、”箸休め”と書いて、今度は箸休めが気になります。


箸休め「食事の途中で口をさっぱりさせたり、味に変化をつけるための簡単な料理。(調理用語辞典)」
また、”箸洗”「吸物、または一口(ひとくち)という。懐石料理で一汁三菜のあと、強肴(しいさかな)のあとに出す吸物で、次に出る八寸に備え、きわめて淡白な澄まし汁。(味覚辞典)」
“口なおし”、“味変り(替わり)”色々ありますね。

それはハルコが大阪に出張した時に、宿泊したホテルで一人寂しくカウンターで天ぷらを食べていた時のことでした。途中で「お口直しのソルベです」と出て来たのが、とんでもない“濃厚なミント味”のソルベでした。お口直しどころか、口が曲がってしまいいましたがなぁ。
あぁ、まいった! それまでの、まぁまぁの天ぷらの味がすべて台無し!
少し口を付けただけで、その後の天ぷらがどんな味になるのか。ハルコ珍しく怒りました(今この味を思い出すとフランスのミッシェル・ブラスのレストランで食べた歯磨き味のデセールに似ていたな)。

美味しいものの記憶は非常に曖昧なもので、段々その味を忘れてしまいますが、なぜか不味いものは何時までも覚えているもんです。
表題の「下手は上手の鏡」は、佐江衆一著の『動かぬが勝』の中の一節を取ったものです。年老いて剣士を志した大店の隠居旦那が、何時までも剣が上達しないのを見て師匠が、

「下手こそや上手の上の鏡なれ
そしるべからずかえすがえすも」

うむ。ハルコ感じ入りましたね。

上手な人の料理を食べたり、見たり、教わっているよりも、自分より下手な人の料理を食べる方が勉強になる(かなり強引ですが)。これは、剣道用語で「見取り稽古の眼がすすむ」というそうです。
確かに“プロ”の店なのに「どうしてこんなに不味いものを出すのか?」と不思議に思うことがあります。
まぁ、自分の口に合わないと言ったらそれまででなのすが、往々にしてありますね。

先立っても、某所でイタリアンバル料理を食べていたときです。店は感じが良くお客も沢山いて繁盛店のようでした。
これが、どれをとっても不味い! 一体どうしたらこんな不味い料理が出せるのか超不思議!!
トリッパの煮込み(ハルコの大好物です)を頼んだら、何と噛み切れないトリッパ。いや、本当に歯が立たない。想像するだに、この料理人はトリッパの美味しいのを食べたことが無い、と結論したのです。
身体の一部(胃袋)がトリッパ出来ているハルコとしては、納得いかない味でした。
逆に、こんなトリッパ料理を初めて食べた客は、その後トリッパは二度と頼まないだろう、とも思いました。このトリッパはプロでなくてもどこが変か(間違いか)わかります。
たぶん下ごしらえはを店ではしてませんね(元々処理してあるものだと思います)。それは、ちゃんと処理されて臭みもないものです。
問題はその後の加熱方法。何回か火入れをした後の煮込み時間が足りない(通常は4~5時間)のと、強火で短時間に加熱したので、火は良く通っているが固いだけのトリッパになっていました。
まさに、「下手は上手の鏡」ですね。

本日のお薦めの1冊は、敬愛する小泉武夫先生のそのままズバリ『不味い!(まずい!)』で決定!
日常の周辺にある普通の“不味い!”ものを、科学的な見地から面白く解説しております。まさに「下手こそ上手の鏡」でございます。

●下手こそ上手の鏡料理
長年外食が主体の食生活が、ハルコ誕生とともにお家ご飯が多くなりました。
その理由のは幾つかありますが、外食に倦んで来たということも有りますが、自分で料理を作って食べる方が美味しいと感じたからです。まぁ(自慢ですが)、そこそこ料理の腕は上がったと自負しております(ハルコ! ウソを言うんじゃありません!)。あっ、奥でオクサマの声が……。

家では野菜料理が多いですね。渡辺七奈さんから頂いた「埼玉青大丸茄子」の煮浸しは、分とく山、野崎洋光さん直伝の万能だしと削節をかけて。
同じ茄子を使ったカポナータ(ラタトウィユ)も、これはル・マンジュ・トゥーの谷昇さんから教わったもの。まぁ、やはり上手から教わらないとね。

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