2011年9月20日火曜日

みをつくし料理帖から…江戸のグルメ文化 その1

時代小説の大ファンのハルコでございます。
その中でも特に料理に関しての小説を幾つか取り上げたいと思います。

 第1弾は高田 郁さんの『みをつくし料理帖』です。
現在ハルコ文庫、いや、ハルキ文庫で6冊目が出ています。作者のあとがきによると年2冊の刊行がやっとのこと。
何でも、小説に出てくる料理は全てご自身でレシピを書いて調理するというくらい徹底してます。凄いことですね。当然小説の中の料理は、ストーリーと絡んできます。
ひとつの問題が生じ、それを主人公(澪/みお)のひらめきや、まわりにいる人々のアドバイスで解決していく様は、まるで方程式を解くような快感がありますね。
高田郁の他の作品でも『銀二貫』は、食材としての寒天開発を表面から描いている感動的な小説ですが、これもお薦めの本です。

話は戻して『みをつくし料理帖』です。話の内容は読んでのお楽しみなので、ストーリなどは書きません。
江戸時代、武家階級から商人を中心とした階級が、経済的に力を持ってくるという背景があります。
お話の中で「料理番付」で料理店のランキングが出てきます。そこでは“通”という言葉が時代を反映しているのでした。

現在でも“通”という言葉は、よく“通だね”などのように使われますが、明和6年(1769年徳川家治の時代)頃に使われるようになった流行語なのです。
世態人情、色事の機微に通じていることを指し、反対の状態は“野暮(やぼ)で、判ったふりをするのが“半可通(はんかつう、ハルコもよく言われます)そして、“通の中の通”のことを“大通(だいつう)と言います。
その大通札差(ふださし)が中心になり“十八大通”というのが生まれ江戸文化を爛熟させるのです。
札差というのは蔵前を中心にした商人達です。江戸時代は武家階級の基本の俸給は米ですが、これを現金化してくれる商売のことですね。
札差の「札」というのは米の支給手形のことで、米が支給される時に竹串に挟んで御蔵役所の藁束に差して順番を待った所から、札差と呼ばれるようになったそうです。
その札差は、米の販売・運搬の他に高利貸し(俸給の前借り)もして、大変裕福な層(集団)になりました。
時代劇では当然悪役で登場する回数は多いのですが、この層が江戸の経済活性と文化の発展に寄与したのは事実ですね。

金が余れば当然旨いものを食べたくなる、そうすると、富裕層を対象にした店舗も増える。そして、どの店が旨いかという情報を元に、ランキングされグルメマーケットが形成される。江戸時代には現在のグルメ文化の原型が誕生していたんですね。
(つづく)

●「皇帝の愛したガラス」展

東京庭園美術館「皇帝の愛したガラス」展を観に行きました。
ハルコは以前、この近所に住んでおりました。良い場所です。暑くなければ隣の白金自然教育園もお薦めです。夏になると教育園からカブトムシがよく飛んできました。

帰りは久しぶりに麻布十番の「登龍」で叉焼麺と餃子。登龍の青唐辛子の醤油付けは旨いです。そろそろわが家でも青唐辛子醤油漬けを仕込まねば!


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