2011年8月30日火曜日

ジャン・ドラヴェーヌ 三題話 その3

フランスから帰ってきた日曜日に、横浜中華街でランチを食べておりました。
選んだ料理の一つが“冬瓜と蛙の炒め物”でした。
一口、口に入れた瞬間あっ、と思いしたのです。「この食感、味…。うむ、最近どこかで食べたような気がする」
はた、と思い出したのは、1週間前にパリの「レガン」で食べた“Tête de Veau(仔牛の頭肉)"でした。
確かにどちらもゼラチン質が多く、似たような感じではあります。
が、どうも腑に落ちない。なんだろう、この不思議な胸騒ぎは……。
判らない思いを抱きつつ、ドラヴェーヌさんのことも味のことも忘れておりました。

さて、ここで食関係の方に読んで欲しい1冊のコーナです。
まぁ、これも古い本ですね。初版は1982年でハルコの持っているのは1984年(五版)です。
『食の味、人生の味 辻嘉一 小野正吉』(柴田書店)という対談集です。
ご両人とも故人になりましたが、辻嘉一さん(1988年没)は京都の懐石料理店「辻留」のご主人。小野正吉さん(1997年没)は、ホテルオークラの名総料理長。非常に面白く含蓄のある本です。
『食の味、人生の味 』入手可能なら一読お薦めの本です。背筋がぴしっ、と伸びる対談です。特に料理人を目指す人には大変参考になると思います。

そ、そして……見つけたのです!! ジャン・ドラヴェーヌさんの話を。
小野正吉さんがジャン・ドラヴェーヌさんををオークラに招いた時の話です。
NHKの「今月の顔」という番組にジャン・ドラヴェーヌさんが“味の大使”というキャッチフレーズで出演していたのが、1984年9月のこと。
ということは、ドラヴェーヌさんが来日していたのは1982年以前ということですね。

さて、その対談に小野正吉さんが「ドラヴェーヌさんが、オークラに来たときにね、中国料理の「桃花林」で、二日でも三日でも働かせてくれって、白い服持って来て調理場に入ったんですよ。彼らは香港・中国にも行っているようですしね」
この部分で、何だか判らなかった輪が完結したのです。

アルザスの“牛の頭肉”から始まり、ドラヴェーヌさんの“仔牛の頭肉”に行き、そして、横浜で食べた“冬瓜と蛙”がフランス料理から中国料理へとヌーヴェル・キュイジーヌで融合したのでした。
それというのも、この『食の味 食の人生』に巡り会えたからですね。

●イノサンク
ハルコのお友達の料理研究家・木村伸子先生のスタジオで食事会をしました。先生は武者小路実篤さんのお孫さんのお嫁さんです。
当日はフィレンツェの池田夫妻、中国茶の秦さん、家庭画報のFさん、ネスレのSさん、三越伊勢丹研究所Sさん、それにオクサマ、ハルコで大変楽しく過ごさせていただきました(食べ過ぎた)。
先生の料理の幅と奥行きは凄いですよ。是非先生に料理を教わりたい方はイノサンクまでご連絡ください。

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